ベーチェット病(BD)

ベーチェット病とは

ベーチェット病とは 免疫異常により組織障害が起こり、その結果、口腔内のアフタ性潰瘍・外陰部潰瘍・眼のぶどう膜炎・皮膚症状を特徴とする炎症発作を繰り返す病気です。

この病気は、20〜40歳代に多く発症します。
男女差はほとんどありませんが、男性のほうが重症化しやすい傾向にあります。

原因は未だはっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因に、環境要因が影響していると考えられています。

ベーチェット病の症状

主な症状
@口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
口唇粘膜や頬粘膜・舌・歯肉などの口腔粘膜に境界が明瞭な浅い痛みを伴う潰瘍ができます。
このアフタ性潰瘍は、1つ1つは10日以内に治癒しますが、また再発するのが特徴で、ベーチェット病ではほぼ必ず初期症状として発症する特徴的な症状です。

※アフタ性潰瘍とは、周りが赤く、中心部が白っぽい境界が明瞭な小さな潰瘍のことです。
ちなみに口腔内のアフタ性潰瘍とは、一般的にいわれている口内炎のことです。

A外陰部潰瘍
男性では主に陰嚢、女性では大小陰唇や膣粘膜に痛みを伴うアフタ性潰瘍が出現します。

B皮膚症状
結節性紅斑(やや隆起した硬結を伴う紅斑)や毛嚢炎様皮疹(ニキビに似た皮疹)、血栓性静脈炎が出現します。
結節性斑・血栓性静脈炎は主に下肢に、毛嚢炎様皮疹は主に顔面、頸部、胸部などにできやすいです。
また、皮膚の被刺激性が亢進するため、採血による静脈穿刺で静脈炎が起こることもあります。

C眼症状
眼の症状は、ブドウ膜炎が主体で、両眼が侵される場合がほとんどです。
ブドウ膜炎は2つに大別されます。

1)虹彩毛様体炎型(前部ぶどう膜炎)
羞明感(異常にまぶしく感じる)や充血が起こります。
2)網膜ぶどう膜炎型(後部ぶどう膜炎)
出血や網膜浮腫、網膜炎を繰り返すことにより、視力が低下して、最悪の場合、失明することがあります。

副症状
@関節炎
膝・足首・肩・肘・手首などの大きな関節に痛みや腫れ、発赤が出現しますが、硬直や変形が起こることはまずありません。

A副睾丸炎
睾丸の腫れや圧痛が起こることがあります。

B血管症状
ベーチェット病で血管病変がみられる場合を、血管型ベーチェットといいます。
動脈や静脈の炎症、血栓性閉塞、動脈瘤が起こります。
この血管型ベーチェットは男性に多くみられます。

C消化器症状
ベーチェット病で消化器病変(腸管潰瘍)がみられる場合を、腸管型ベーチェットといいます。
主に回盲部から盲腸にかけて潰瘍性病変が起こります。
症状は、下痢や腹痛などがあげられます。
この腸管型ベーチェットは男性に多くみられます。

D神経症状
ベーチェット病で神経病変がみられる場合を、神経型ベーチェットといいます。
中枢性運動麻痺、精神症状(性格の変化など)、髄膜刺激症状が起こります。
これも男性に多くみられ、難治性で予後も悪いです。

ベーチェット病の治療法

基本的にベーチェット病の治療には、病態が軽度の場合は、対症療法が基本となりますが、病態が重度の場合や、重大な後遺症を残す病変(特に眼症状)に対しては、免疫抑制剤やステロイド剤が用いられます。
また、このベーチェット病では血管の閉塞が起きやすいため、抗凝固剤や血管拡張剤も用いられます。

ベーチェット病における検査データ

血球検査
白血球数増加
主に白血球の一種、好中球が増加します。

血清検査
CRP上昇、赤沈亢進
各組織での炎症が起こるため上昇します。

免疫グロブリン増加
IgG・IgA・IgDが増加します。
この中で、特にIgDの増加は、他の疾患ではあまり見られないので、診断上参考となります。

血清補体価高値
血清補体価(CH50)・C3・C4が高値を示します。

HLA-B51陽性
ベーチェット病患者の約50〜60%の方が組織適合性抗原のHLA-B51を持っているため、陽性を示します。

抗核抗体陰性
他の膠原病と違い、ベーチェット病では抗核抗体は陰性を示します。

その他検査
皮膚の針反応検査
この検査は、ベーチェット病の患者にみられる皮膚の被刺激性亢進をみる検査です。
皮膚に清潔な針(20〜22G)を軽く刺します。
健常者の方の場合は、刺したところの皮膚が赤くなる程度ですが、ベーチェット病の方の場合は、その赤みが次第に増して、48時間後には明らかな発赤や硬結を示し、ときには中心部が膿をもつまでになります。

レンサ球菌ワクチンによるプリックテスト
ベーチェット病の方の多くはStreptcoccus sanguisをはじめとする口腔内レンサ球菌に強い過敏性を示します。
この検査では、レンサ球菌死菌抗原を皮膚に少量付け、針でその部分を少し傷つけてレンサ球菌死菌抗原を吸収させます。
そして20〜24時間後に強い紅斑が認められれば陽性と判定します。

ベーチェット病の診断基準

ベーチェット病診断基準(厚生労働省ベーチェット病に関する調査研究班:2003年)

1 主症状
@口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍

A皮膚症状

  • a)結節性紅斑様皮疹
  • b)皮下の血栓性静脈炎
  • c)毛嚢炎様皮疹、ざ瘡様皮疹
  • 参考所見:皮膚の被刺激性亢進

B眼症状

  • a)虹彩毛様体炎
  • b)網膜ぶどう膜炎(網脈絡膜炎)
  • c)以下の所見があればa)b)に準じる
    a)b)を経過したと思われる虹彩後癒着、水晶体上色素沈着、網脈絡膜萎縮、視神経萎縮、併発白内障、続発緑内障、眼球癆

C外陰部潰瘍

2 副症状
@変形や硬直を伴わない関節炎
A副睾丸炎
B回盲部潰瘍で代表される消化器病変
C血管病変
D中等度以上の中枢性神経病変

3 診断基準
@完全型
経過中に4主症状が出現したもの

A不完全型

  • a)経過中に3主症状、あるいは2主症状と2副症状が出現したもの
  • b)経過中に定型的眼症状とその他の1主症状、あるいは2副症状が出現したもの

B疑い
主症状の一部が出没するが、不完全型の条件を満たさないもの、および定型的な副症状が反復あるいは増悪するもの

C特殊病変

a)腸管型ベーチェット病
腹痛、潜血反応の有無を確認する
b)血管型ベーチェット病
大動脈、小動脈、大小静脈障害の別を確認する
c)神経型ベーチェット病
頭痛、麻痺、脳脊髄症型、神経症状などの有無を確認する。

生活上の注意点

ベーチェット病は、症状が軽くなったり、悪くなったりを繰り返して慢性的な経過をたどることが多い病気ですので、日常生活に気をくばることが大切です。
一般的に、疲れやストレスを貯めず、十分な休養をとり、バランスの取れた食事をし、規則正しい生活を心がけましょう。

ベーチェット病は、寒冷や季節の変わり目に悪くなることがあるので、カラダの保温を心掛けましょう。
口腔内アフタ(口内炎)が出来た場合は、そこから細菌が感染しないように、うがいなどをして患部を清潔に保ちましょう。
また、虫さされで症状が悪化することがあるので、特に夏場は注意しましょう。
女性の場合では、月経によって症状が悪化することがあるので注意が必要です。

膠原病など慢性的な経過をたどる病気では、悪い方へと考えがちになってしまいがちです。
そうならないためにも、趣味を持ったり、自分一人がこの病気に罹っている訳ではない事を自覚して、悩みを相談できるヒトを見つけることが必要です。