多発性筋炎・皮膚筋炎

多発性筋炎・皮膚筋炎とは

多発性筋炎とは、筋肉組織で過剰な免疫反応が起こり、筋肉が障害を受けることにより炎症・変性が起き、その結果 筋力の低下をきたす病気です。

筋肉の障害は主に、四肢・頸部・咽頭が多く、左右対称性に筋力の低下が起こります。

皮膚筋炎とは、筋炎症状に加えて、ゴットロン徴候(指関節の背面が赤く固くなる皮疹)やヘリオトロープ疹(まぶたが紫紅色に腫れぼったくなる皮疹)などの特徴的な皮膚病変が認められるものを指します。

この病気は、5〜14歳と35〜64歳に多く発症します。
小児期では男女差はありませんが、成人では1:2と女性に多く発症がみられます。

原因は未だはっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因に、環境要因が影響していると考えられています。

多発性筋炎・皮膚筋炎の症状

@筋肉症状
筋肉組織の障害により、筋力低下が起こり、様々な症状があらわれます。

1)四肢の筋力低下の症状
階段が昇りにくくなった ・物がいつもより重く感じる ・座って立ち上がるときに立ち上がりにくい ・高いところの物がとれない など
2)頸部の筋力低下の症状
首がだるい ・寝ていて首をあげようとしても上がらない など
3)咽頭筋の筋力低下の症状
物が飲み込みにくくなった など

A全身症状
・食欲不振 ・微熱 ・体重減少 ・全身倦怠感 など

B皮膚症状
ゴットロン徴候(指関節の背面が赤く固くなる皮疹)やヘリオトロープ疹(まぶたが紫紅色に腫れぼったくなる皮疹)があらわれます。
これらは通常、痒みを伴いません。

C臓器症状

1)肺
肺に炎症が起こり、様々な症状が起こります。
・息切れ ・咳 ・呼吸困難 など
2)心臓
心筋が障害されることにより様々な症状が起こります。
・動悸 ・不整脈の出現 など

Dその他
レイノー現象や関節痛などが起こります。

※レイノー現象
寒冷時に手や脚の指が白く冷たくなる現象。

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療法

基本的に、多発性筋炎・皮膚筋炎の治療には、ステロイド剤や免疫抑制剤が用いられます。

多発性筋炎・皮膚筋炎における検査データ

尿検査
尿潜血陽性(試験紙法)
筋肉組織の障害が高度の場合、筋肉中のミオグロビンと呼ばれる物質が尿中に出現し、尿潜血が陽性となることがあります。

ちなみに、ミオグロビンは、赤血球中に含まれるヘモグロビンと似ているため、尿潜血検査で陽性を示すことがあります。

尿中クレアチニン増加
筋肉の崩壊に伴い、尿中へのクレアチニン排泄量も増加します。

血球検査
白血球数増加
主に白血球の一種、好中球が増加します。

血清検査
筋原性酵素(CK・アルドラーゼ・AST・LDH)上昇
筋肉が障害を受けることにより上昇します。

CRP上昇、赤沈亢進
筋肉や各組織での炎症が起こるため上昇します。

抗体検査(陽性を示すもの)
・抗核抗体 ・LE因子 ・抗Jo-1抗体 ・抗SRP抗体 ・抗Ku抗体 ・抗Mi抗体 ・抗PM-Scl抗体 など

その他検査
筋生検
筋肉を採取して、染色液で染めて顕微鏡で異常の有無を検査します。
多発性筋炎の場合、リンパ球の浸潤や筋線維の変性・壊死、萎縮などがみられます。

多発性筋炎・皮膚筋炎の診断基準

多発性筋炎・皮膚筋炎診断基準(厚生労働省自己免疫疾患調査研究班:1992年)

1 診断基準項目
(1)皮膚症状

  • (a)ヘリオトロープ疹:両側または片側に眼瞼部の紫紅色浮腫性紅斑
  • (b)ゴットロン徴候:手指関節背側面の角質増殖や皮膚萎縮を伴う紫紅色紅斑
  • (c)四肢伸側の紅斑:肘、膝関節などの背面の軽度隆起性の紫紅色斑

(2)上肢または下肢の近位筋の筋力低下
(3)筋肉の自発痛または把握痛

(4)血清中筋原性酵素(クレアチンキナーゼまたはアルドラーゼ)の上昇
(5)筋電図の筋原性変化
(6)骨破壊を伴わない関節炎または関節痛
(7)全身性炎症所見(発熱、CRP上昇、または血沈促進)

(8)抗Jo-1抗体陽性

(9)筋生検で筋炎の病理所見:筋線維の変性および細胞浸潤

2 診断基準判定

皮膚筋炎
(1)の皮膚症状の(a)〜(c)の1項目以上を満たし、かつ経過中に(2)〜(9)の項目4項目以上を満たすもの。
多発性筋炎
(2)〜(9)の項目4項目以上を満たすもの。

3 鑑別診断を要する疾患
感染による筋炎、薬剤性ミオパチー、内分泌異常に基づくミオパチー、筋ジストロフィーその他の先天性筋疾患

生活上の注意点

多発性筋炎・皮膚筋炎は、症状が軽くなったり、悪くなったりを繰り返して慢性的な経過をたどることが多い病気ですので、日常生活に気をくばることが大切です。

一般的に、疲れやストレスを貯めず、十分な休養をとり、バランスの取れた食事をし、規則正しい生活を心がけましょう。

また、皮膚筋炎のかたは、紫外線により症状が悪化することがあるので、外出時には、紫外線対策として、帽子・長袖や長ズボンを着用し、顔には日焼け止めクリームを塗るのも効果的です。

多発性筋炎の方は、筋炎の症状が鎮静化しているときに筋力の回復などのリハビリテーションを行ないましょう。
決して筋炎の活動期には行なわないで下さい。症状を悪化させる原因となります。

膠原病など慢性的な経過をたどる病気では、悪い方へと考えがちになってしまいがちです。
そうならないためにも、趣味を持ったり、自分一人がこの病気に罹っている訳ではない事を自覚して、悩みを相談できるヒトを見つけることが必要です。