全身性エリテマトーデス(SLE)

全身性エリテマトーデス(SLE)とは

全身性エリテマトーデスは、膠原病の一種で、細胞内に存在する核の成分に対して自己抗体(自分のカラダの成分と反応してしまう抗体)が作られ、それによって全身の様々な場所に炎症が起こる疾患です。

この病気は、20〜40歳代の若い女性に多く、男女比は1:9と圧倒的に女性に多い病気です。
発病率は1万人に1〜10人程度です。

原因は未だはっきりとは分かっていませんが、遺伝的な要因に、環境要因(紫外線や感染症、妊娠・出産など)が影響して病気が起こったり、または病気が悪化したりすることがあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)の症状

全身性エリテマトーデス(SLE)の症状には、以下のようなものがあります。

1)全身
発熱や全身倦怠感、易疲労感があらわれることがあります。

2)関節・筋肉
筋肉痛や関節痛が起きたり、手や指、肘や膝などの関節に炎症が起こります。
SLEによる関節炎は、通常、骨破壊を伴いません。

3)皮膚

蝶型紅斑(ちょうけいこうはん)
頬に蝶が羽を広げているような形の盛り上がった赤い発疹ができるものです。
この発疹は、1つ1つが丸く、この丸い発疹が重なり合って形成されています。
ディスコイド疹
一つ一つが丸く、かさかさした感じの赤い発疹で中心部が少し白く、正常な皮膚との境界ははっきりとしていて、顔面、耳、首のまわりなどによくできます。
ディスク状(レコード盤)の形に似ていることから、ディスコイド疹と呼ばれています。
脱毛
円形脱毛症のように、部分的に髪が抜け落ちたり、全体的に髪が抜けることがあります。
また、髪が痛みやすくなります。
口内炎
痛みを伴わない口内炎が、頬の裏や口の奥にできます。
痛みがないため、気がつかないこともよくあります。
日光過敏
SLEでよく見られる症状の1つで、外に出て紫外線に浴びたあとに、水脹れができたり、赤くなったりすることがあります。

4)臓器

腎臓
SLEの半数の方に糸球体腎炎(ループス腎炎)が現れます。
腎炎がおこると、尿中に蛋白や円柱が出現することがあります。
心臓
心外膜炎や心筋炎を引き起こすことがあります。
心筋炎が起こると、不整脈が出現することがあります。
自覚症状としては、動悸や脈がとぶ感じがするなどで、ヒトによっては自覚症状がない場合もあります。
その他
胸膜炎や間質性肺炎なども起こることがあります。

5)その他
溶血性貧血が起こったり、白血球や血小板が減少し、感染症に罹り易くなったり、出血が止まりにくくなることがあります。
また、神経症状(妄想・見当識障害など)が現れることがあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療法

基本的に全身性エリテマトーデスの治療には、異常な免疫を押さえ込むはたらきのある副腎皮質ステロイド剤が用いられます。

その他に、ステロイドでは副作用が強かったり、効果が不十分の場合に、免疫抑制剤が用いられたり、症状が重い方には、点滴でステロイドを大量に使用するパルス療法が用いられる場合もあります。

また、高血圧の併発には降圧剤を用いるなど、各症状に対する対症療法も同時に行なわれます。

全身性エリテマトーデス(SLE)における検査データ

血球検査
赤血球数、白血球数、血小板数減少

尿検査(糸球体腎炎など腎臓に症状が現われた場合)
尿蛋白陽性、円柱の出現

血清検査
抗体検査(陽性を示すもの)
・抗核抗体 ・抗DNA抗体 ・抗Sm抗体 ・LE因子 ・抗リン脂質抗体 など

全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準

SLE診断基準 (米国リウマチ学会:1997年改訂基準)

  1. 頬部紅斑
  2. ディスコイド疹
  3. 光線過敏症
  4. 口腔潰瘍
  5. 非びらん性関節炎
  6. 漿膜炎

    胸膜炎または、心膜炎

  7. 腎障害

    0.5g/日以上または、+++以上の持続性蛋白尿または、細胞性円柱

  8. 神経障害

    痙攣または、精神障害

  9. 血液異常

    溶血性貧血または、白血球減少症(<4000/μl)または、リンパ球減少症(<1500/μl)または、血小板減少症(<100000/μl)

  10. 免疫異常

    抗二本鎖DNA抗体陽性、抗Sm抗体陽性または、抗リン脂質抗体陽性(IgGまたは、IgM抗カルジオリピン抗体の異常値、ループス抗凝固因子陽性、梅毒血清反応偽陽性 のいずれか)

  11. 抗核抗体陽性

上記の11項目中4項目以上が存在すればSLEと診断する

生活上の注意点

全身性エリテマトーデスは、症状が軽くなったり、悪くなったりを繰り返して慢性的な経過をたどることが多い病気ですので、日常生活に気をくばることが大切です。

一般的に、疲れやストレスを貯めず、十分な休養をとり、バランスの取れた食事をし、規則正しい生活を心がけましょう。
また、外出時には、紫外線対策として、帽子・長袖や長ズボンを着用し、顔には日焼け止めクリームを塗るのも効果的です。

妊娠・出産は、臓器障害が重度でなければ、十分可能です。
しかし、健常な方と比べると、流産や早産などの危険が高いのも事実です。
そのため、しっかりと医師と相談し計画的に妊娠・出産をするようにしましょう。