全身性強皮症(SSc)

全身性強皮症とは

免疫異常により組織障害が起こり、その結果、皮膚の硬化や肥厚、臓器の線維化をきたす慢性炎症性疾患です。

この病気は、30~50歳代の女性に多いです。

原因は未だはっきりとわかっていませんが、遺伝的な要因に、環境要因が影響していると考えられています。

全身性強皮症の症状

全身性強皮症(SSc)の症状には、以下のようなものがあります。

皮膚症状
1)皮膚硬化
皮膚が硬くなることにより、腫れた感じや指のこわばりなどが症状としてあらわれます。
この皮膚硬化は、手指から、手背、前腕、上腕、躯幹(くかん)※と体の中心部へ進行していきます。

※躯幹(くかん)
頭と手足を除いた胴体部分のことを指します。

2)皮膚の色素異常
全身の皮膚が黒ずんできたり、部分的に白く色素が抜け落ちた感じになります。

3)皮膚の潰瘍
手足の血行障害により、皮膚に潰瘍ができます。
好発部位は、指先やつま先ですが、肘やかかと、手の甲にもできることがあります。
この症状は、冬場のように気温が低くなる時期に多くみられます。

4)皮膚の乾燥および痒み
皮膚の硬化が強い場合は、皮膚が乾燥し、そのため痒みを伴うことがあります。

5)皮膚の血管拡張
皮膚の血管が拡張することにより、赤あざのような斑点がみられることがあります。

レイノー現象
全身性強皮症では、血行障害が起きやすいので、初期症状としてレイノー現象があらわれることが多いです。

症状としては、指先やつま先が白くなり、その後、紫色に変色し、赤くなって元に戻ります。
その際、指先やつま先が冷たい感じがしたり、しびれ感などを伴います。
レイノー現象は、冷たいものに触れたり、精神的ストレスにより血管のけいれんが起き、その結果、手指や足指の血行障害が起きてしまいます。

関節症状
手首や肘、膝などに関節痛が起こることがあります。
又、手指の関節が曲がったまま動かなくなってしまうことがあります。

臓器症状
1)消化器

a)食道
食道の下部の筋肉に線維化が起こり、その結果、その部分が硬くなることにより、胃酸が逆流して逆流性食道炎が起こります。
症状としては、胸焼けや胸のつかえ感、胸の辺りが熱くなるなどです。
b)その他
慢性の下痢や便秘が起こることがあります。

2)腎臓
腎臓の血管に線維化が起こり、その結果、血管が狭くなることにより高血圧が起こります。(強皮症腎クリーゼ)
それ程頻度は多くありませんが、突然発症するので注意が必要です。
症状としては、高血圧による頭痛やめまいなどがあります。

3)肺
肺の組織が硬くなり、肺線維症を引き起こすことがあります。
症状としては、息切れや咳、疲労感などがあります。
これらの症状は、肺の組織が硬くなることにより、体内に充分な酸素を取り込むことができなくなるために起こります。
また、肺の血管が障害を受け、その結果、肺高血圧症を起こすことがあります。

4)心臓
稀ではありますが、心筋の線維化が起こり、心臓の機能が低下したり、不整脈が出現することがあります。

全身性強皮症の治療法

病気の自然経過を変化させる疾患修飾薬と各症状をやわらげる対症療法が中心となります。

疾患修飾薬
主にステロイド薬や免疫抑制薬が用いて症状の進行を遅らせます。

対症療法
血行障害時には血管拡張薬を用いたり、逆流性食道炎が起こった場合は、胃酸分泌抑制薬などを用いたり、高血圧(腎臓病変による)が起こった場合には高血圧改善薬を用いたりして、個々の症状を緩和します。

全身性強皮症における検査データ

尿検査
蛋白尿、血尿、円柱の出現
強皮症により腎障害が起こると認められます。

血液検査
赤血球数減少(貧血)
消化管の障害により葉酸やビタミンB12の吸収障害が起こることにより、貧血となります。

血漿蛋白増加
血漿蛋白のγーグロブリンが増加します。

抗体検査(陽性を示すもの)
・抗核抗体 ・LE因子 ・抗セントロメア抗体 ・抗トポイソメラーゼⅠ(Sc1-70)抗体

その他の検査
皮膚生検
皮膚を採取して、染色液で染めて顕微鏡で異常の有無を検査します。
強皮症の場合、膠原線維の線維化などを認めます。

その他
胃内視鏡検査で逆流性食道炎の有無や、心電図で不整脈の有無、呼吸機能検査や胸部レントゲンにて肺の病変の有無を調べます。

全身性強皮症の診断基準

強皮症診断基準(2002年:厚生労働省 竹原班)

大基準
手指あるいは足趾を越える皮膚硬化※1

小基準
1)手指あるいは足趾に限局する皮膚硬化
2)手指尖端の陥凹性瘢痕、あるいは指腹の萎縮※2
3)両側性肺基底部の線維症
4)抗トポイソメラーゼⅠ(Sc1-70)抗体または抗セントロメア抗体陽性

除外基準
1)※1 限局性強皮症(いわゆるモルフィア)を除外する
2)※2 手指の循環障害によるもので、外傷などによるものを除く

診断の判定
大基準を満たすものを強皮症と診断する。
大基準を満たさない場合は、小基準の1)かつ2)~4)のうち1項目以上を満たすものを強皮症と診断する。

生活上の注意点

全身性強皮症は、症状が軽くなったり、悪くなったりを繰り返して慢性的な経過をたどることが多い病気ですので、日常生活に気をくばることが大切です。
一般的に、疲れやストレスと貯めず、十分な休養をとり、バランスの取れた食事をし、規則正しい生活を心がけましょう。

全身性強皮症の方の多くは、手足が冷たくなりやすいので、手袋や厚手の靴下で保温し、お風呂に入ったときはしっかりと温め、マッサージをしましょう。
喫煙は、血行不良を増悪させたり、肺の病状を悪化させる原因となります。禁煙をしましょう。

逆流性食道炎を起こしている際は、刺激物を避け、なるべく消化の良い食べ物を摂るようにしましょう。
全身性強皮症では、末梢の血行不良により、傷ができると治りにくいことがあります。
そのため、小さな傷でも放っておかず、しっかりと処置をしましょう。

膠原病など慢性的な経過をたどる病気では、悪い方へと考えがちになってしまう傾向にあります。
そうならないためにも、趣味を持ったり、自分一人がこの病気に罹っている訳ではない事を自覚して、悩みを相談できるヒトを見つけることが必要です。