鉄(Fe)

鉄(Fe)の働き

鉄の主な働きは、赤血球中のヘモグロビンの材料となり、酸素を運ぶことです。
そのほかに、一部の酵素の働きを手助けする働きもあります。

鉄は、体内に成人で約3〜5mg程度存在します。
体内の鉄は、大きく分けて機能鉄と貯蔵鉄に分けられます。
機能鉄
機能鉄は、体内の鉄の約7割を占め、そのほとんどがヘモグロビンの材料として使われます。
残りの鉄は、筋肉中に存在するミオグロビンの材料として使われたり、酵素の働きの手助けをしています。

貯蔵鉄
貯蔵鉄は、フェリチンやヘモジデリンとして大部分は肝臓に蓄えられますが、そのほかに脾臓、骨髄などにも蓄えられて、機能鉄が不足した場合に使われます。

赤血球の寿命によって壊されたヘモグロビン中の鉄のほとんどは、体内で再利用されますが、1日に約0.5〜1.5mg程度は失われます。
そのため、食物から一定量摂取しないと鉄欠乏状態となってしまいます。
食物から摂取された鉄は小腸で吸収され、蛋白と結合して体の組織に運ばれます。
鉄欠乏状態であると、通常時よりも小腸での吸収能力が上がります。

鉄が不足するとどうなる?

体内の鉄が不足すると、貧血(鉄欠乏性貧血)が起こります。
そのため、立ちくらみや息切れ、少しの運動ですぐ疲れるなどの症状があらわれます。

食品中の鉄について
食品の鉄は、大きく分けてヘム鉄と非ヘム鉄があります。
ヘム鉄とは、魚や肉のように、動物性食品に含まれている鉄分で、体内に吸収しやすい状態になっています。

非ヘム鉄とは、植物性食品に含まれている鉄分で、ヘム鉄に比べてそのままでは体内に吸収されにくいです。
そのため、植物性の非ヘム鉄は、動物性たんぱく質を同時にとると、吸収されやすくなりますので、非ヘム鉄を摂る場合は、動物性蛋白質を含む食品も一緒に食べましょう。
そのほかに、ビタミンCを含む食品を同時に摂取すると、体内に吸収されやすくなります。

鉄の食事摂取基準

鉄の年代別摂取基準(男性)               (単位 mg/日)

      年齢       推奨量       目安量       上限量
     0〜5ヶ月
       母乳栄養児
       人工乳栄養児 
       
       ー
       ー
       
       0.4
       7.7
       
       ー
       ー
     6〜11(月)        6.0        ー        ー
      1〜2(歳)        5.5        ー        25
      3〜5(歳)        5.0        ー        25
      6〜7(歳)        6.5        ー        30
      8〜9(歳)        9.0        ー        35
    10〜11(歳)       10.0        ー        35
    12〜14(歳)       11.5        ー        50
    15〜17(歳)       10.5        ー        45
    18〜29(歳)        7.5        ー        50
    30〜49(歳)        7.5        ー        55
    50〜69(歳)        7.5        ー        50
    70以上(歳)        6.5        ー        45

鉄の年代別摂取基準(女性)               (単位 mg/日)

     年齢     推奨量
   (月経なし)
    推奨量
   (月経あり)
    目安量     上限量
0〜5ヶ月
  母乳栄養児
 人工乳栄養児 
       
      ー
      ー
       
      ー
      ー
       
      0.4
      7.7
       
      ー
      ー
    6〜11(月)       5.5       ー       ー       ー
     1〜2(歳)       5.0       ー       ー       20
     3〜5(歳)       5.0       ー       ー       25
     6〜7(歳)       6.0       ー       ー       30
     8〜9(歳)       8.5       ー       ー       35
   10〜11(歳)       9.0      13.0       ー       35
   12〜14(歳)       9.0      13.5       ー       45
   15〜17(歳)       7.5      11.0       ー       40
   18〜29(歳)       6.5      10.5       ー       40
   30〜49(歳)       6.5      10.5       ー       40
   50〜69(歳)       6.5      10.5       ー       45
   70以上(歳)       6.0       ー       ー       40
  妊婦(付加量)     +13.0       ー       ー       ー
 授乳婦(付加量)      +2.5       ー       ー       ー

                 参考:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2005年版)

推奨量
ほとんどの人(97〜98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量
目安量
推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に用いられ、良好な栄養状態を維持するのに十分な量
上限量
ほとんどすべての人が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量

鉄分を多く含む主な食品(可食部100gあたり)

                                              (単位:mg)

いも及びでん粉類 果実類 卵類
・さつまいも蒸し切干  2.1 ・あんず(乾)    2.3 ・うこっけい卵(なま)  2.2
・さつまいもでん粉   2.8 ・干しブドウ     2.3 ・うずら卵(なま)     3.1
・くずでん粉       2.0 ・鶏卵(なま)       1.8
海藻類 穀物 種実類
・あおのり(素干し)   74.8 ・アマランサス(玄穀)9.4 ・アーモンド(乾)       4.7
・あまのり ・あわ(精白粒)    4.8 ・あさ(乾)          13.1
 干しのり         10.7 ・オートミール     3.9 ・えごま(乾)         16.4
 やきのり         11.4 ・強力粉(全粒粉)  3.1 ・カシューナッツ
 味付けのり        8.2 ・焼きふ  フライ、味付け4.8
・いわのり(素干し)   48.3  板ふ         4.9 ・かぼちゃ(いり、味付け) 6.5
・かわのり(素干し)   61.3  車ふ         4.2 ・けし(乾)          22.6
・ほそめこんぶ(素干し) 9.6 ・ライむぎ(全粒粉) 3.5 ・ごま(乾)           9.6
・刻みこんぶ        8.6 ・こめ(玄米)     2.1 ・まつ(いり)          6.2
・ほしひじき        55.0 ・そば(全層粉)   2.8
・まつも(素干し)     11.1
豆類 魚介類 肉類
・あずき ・あゆ(天然、焼き)    5.5 ・いのしし
 全粒、ゆで       1.7 ・うるめいわし(丸干し)  4.5  脂身つき、なま       2.5
 こしあん         2.8 ・かたくちいわし(煮干) 18.0 ・牛肉
 つぶしあん       1.5 ・真いわし(丸干し)    4.4  肩ロース、赤肉、なま  2.4
・ いんげんまめ ・めざし(焼き)       4.2  リブロース、赤肉、なま 2.0
 全粒、ゆで       2.0 ・かつお(削り節)     9.0  サーロイン、赤肉、なま 2.0
 うずら豆         2.3 ・はぜ(佃煮)       12.4  もも、赤肉、なま     2.7
・えんどう ・まぐろ(赤身、なま)  ランプ、赤肉、なま    2.9
 全粒、ゆで       2.2  くろまぐろ         1.1  ヒレ、赤肉、なま     2.5
 うぐいす豆        2.5  みなみまぐろ       1.8  レバー、なま       4.0
・大豆 ・赤貝(なま)        5.0  コンビーフ缶詰      3.5
 水煮缶詰        1.8 ・あさり  ビーフジャーキー     6.4
 きなこ(全粒大豆)   9.2  佃煮           18.8 ・うま
・豆腐、油揚げ  水煮           37.8  赤肉、なま        4.3
 焼き豆腐        1.6 ・かき(養殖、なま)    1.9 ・ぶた
 生揚げ          2.6 ・しじみ(なま)       5.3  レバー、なま      13.0
 油揚げ          4.2 ・はまぐり(水煮)      3.9 ・にわとり
 がんもどき       3.6 ・ほたて貝(水煮)     2.8  もも、皮なし、なま    2.1
・納豆(糸引き)     3.3  レバー、なま       9.0
・豆乳           1.2
・湯葉(なま)       3.6
野菜類 きのこ類
・えだまめ(なま)        2.7 ・えのきたけ(なま)   1.1
・グリンピース(ゆで)      2.2 ・ほんしめじ(なま)   1.1
・こまつな(葉、なま)      2.8 ・まつたけ(なま)    1.3
・そらまめ(なま)        2.1
・だいこん(葉、なま)      3.1
・たかな(漬け)         2.1
・とうがらし(果実、なま)   2.0
・パセリ(なま)         7.5
・よもぎ(葉、ゆで)       3.0
・サラダ菜(葉、なま)     2.4

参考:五訂増補 日本食品標準成分表(科学技術・学術審議会・資源調査分科会)