血液型のお話(1)

ABO式血液型について

ABO式血液型とは、ヒトの赤血球の表面に、
・A抗原を持つものをA型
・B抗原を持つものをB型
・A抗原、B抗原を持つものをAB型
・A抗原、B抗原を持たないものをO型
と表したものです。

そして、
・A型の方は血清中に、抗B抗体(B抗原に対する抗体)
・B型の方は血清中に、抗A抗体(A抗原に対する抗体)
・O型の方は血清中に、抗A抗体と抗B抗体(A抗原とB抗原に対する抗体)
を持っており、AB型の方は、抗A抗体と抗B抗体(A抗原とB抗原に対する抗体)のどちらも持っていません。

この抗体があるので、例えば、A型のヒトにB型の血液を輸血すると、B型の赤血球表面にあるB抗原と、A型の血清中に含まれている抗B抗体が結びついて血液が凝集したり、溶血してしまうため輸血できないのです。

参考
O型はA抗原、B抗原は持っていませんが、H物質を多く持っています。
このH物質とは、赤血球表面に存在し、このH物質の上にA抗原やB抗原くっついて存在しています。

そのため、A型の場合はA抗原、B型の場合はB抗原、AB型の場合は、A抗原とB抗原がH物質上にくっついているため、赤血球表面には単独でH物質は存在しませんが、これらの抗原がないO型は、単独でH物質が存在していることになります。

ABO式血液型の遺伝について

ABO式血液型は、9番目の染色体の遺伝子によって決定されます。
ABO式血液型の遺伝子の種類は、A、B、Oの3種類が存在します。

子供への遺伝形式
例えば、A型の母親とO型の父親から、A型の子供が生まれたとします。
単純に考えると、母親のA型のみが遺伝していて、父親からのO型が遺伝していないように思われますが、実はしっかりと受け継がれています。

そもそも、血液型は両親の血液型をそれぞれ受け継ぐわけですから、2つの血液型を受け継いでいるはずです。
一番わかりやすいのが、AB型です。
一方の親からA型を、もう一方の親からB型を受け継いでいるわけです。

要するに、AB型以外の血液型(A型・B型・O型)も同じで、表現型はA型・B型・O型ですが、A型の遺伝子型は、AOとAA、B型の遺伝子型は、BOとBB、O型の遺伝子型はOOというのが実際です。
これでお分かりのように、ちゃんと両親から1つずつ血液型を受け継いでいるのがお分かりになるかと思います。

ここで注目していただきたいのが、AOとBOです。
それぞれ、O型が入っているのだからAB型のようにAO型やBO型と表すのでは?と思われるかもしれませんが、そうではありません。

O型の遺伝子は、劣性遺伝ですので、O型が含まれていても、A型やB型が存在すると、そちらの血液型の遺伝子の方が優勢ですので、表現型としては、A型やB型となります。

ABO式血液型の遺伝(表現型)一覧

 父  母  子供
 A型  A型
 B型
 O型
 AB型
 A型・O型
 すべての血液型
 A型・O型
 O型以外の血液型
 B型  A型
 B型
 O型
 AB型
 すべての血液型
 B型・O型
 B型・O型
 O型以外の血液型
 O型  A型
 B型
 O型
 AB型
 A型・O型
 B型・O型
 O型
 A型・B型
 AB型  A型
 B型
 O型
 AB型
 O型以外の血液型
 O型以外の血液型
 A型・B型
 O型以外の血液型

ABO式血液型の遺伝(遺伝子型)一覧  ※カッコ内は表現型を表しています。

 父  母  子供
 AA(A型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AA(A型)
 AA(A型)・AO(A型)
 AB(AB型)
 AO(A型)・AB(AB型)
 AO(A型)
 AA(A型)・AB(AB型)
 AO(A型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AA(A型)・AO(A型)
 AA(A型)・AO(A型)・OO(O型)
 AB(AB型)・BO(B型)
 AO(A型)・AB(AB型)・BO(B型)・OO(O型)
 AO(A型)・OO(O型)
 AA(A型)・AO(A型)・BO(B型)・AB(AB型)
 BB(B型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AB(AB型)
 BO(B型)・AB(AB型)
 BB(B型)
 BB(B型)・BO(B型)
 BO(B型)
 BB(B型)・AB(AB型)
 BO(B型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AB(AB型)・AO(A型)
 BO(B型)・AB(AB型)・AO(A型)・OO(O型)
 BB(B型)・BO(B型)
 BB(B型)・BO(B型)・OO(O型)
 BO(B型)・OO(O型)
 BB(B型)・BO(B型)・AO(A型)・AB(AB型)
 OO(O型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AO(A型)
 AO(A型)・OO(O型)
 BO(B型)
 BO(B型)・OO(O型)
 OO(O型)
 AO(A型)・BO(B型)
 AB(AB型)  AA(A型)
 AO(A型)
 BB(B型)
 BO(B型)
 OO(O型)
 AB(AB型)
 AA(A型)・AB(AB型)
 AA(A型)・AO(A型)・BO(B型)・AB(AB型)
 BB(B型)・AB(AB型)
 AO(A型)・BB(B型)・BO(B型)・AB(AB型)
 AO(A型)・BO(B型)
 AA(A型)・BB(B型)・AB(AB型)

赤ちゃんの血液型判定について

血液型はおもて検査とうら検査※の結果が一致してはじめて結果として伝えられます。
しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは、おもて検査は検査可能ですが、うら検査ができません。
なぜなら、赤ちゃんの場合、血球表面にABOそれぞれの抗原は存在しますが、その血球表面の抗原に相反する抗体(A型のヒトなら抗B抗体、B型のヒトなら抗A抗体、O型のヒトなら抗A、抗B抗体)がまだ血液中に存在しないからです。

この抗体は、腸内細菌が影響してつくられるため、最低生後3ヶ月くらいたたないと、赤ちゃんの腸内で腸内細菌が住み着いていないため、抗体は作られません。
要するに、赤ちゃんが生まれて、血液型を教えてもらっているのは、あくまで、おもて検査のみの結果です。
そのため、もし、赤ちゃんが亜型※であると、おもて検査のみでは、誤った血液型のを伝えられているかもしれません。

ちなみに、血液型が実際とは違っていたとしても、輸血などを行なう場合は、必ず、医療機関でそのつど血液型を調べ、そのヒトにあった血液を輸血しますので、誤って違う血液型を輸血されるということはありませんのでご安心ください。

※おもて検査、うら検査、亜型については、ABO式血液型2をご覧ください。