尿失禁(尿漏れ)

尿失禁(尿漏れ)とは?

尿失禁(尿漏れ)とは、不随意に尿が漏れる状態をいいます。

要するに、自分自身でしようと思っていないもしくは、我慢したいと思っているにもかかわらず、尿が出てしまう状態です。

尿失禁(尿漏れ)が女性に多い理由

尿失禁は、男性にくらべて女性のほうが圧倒的に多い症状です。

そのワケは・・・
@男性よりも女性の尿道の方が短く(約4cm)、尿道を閉める括約筋が弱いためです。
男性の場合は、前立腺が尿道を閉める効果がありますし、尿道が長い(約25cm)あるので起こりにくいです。

A骨盤内の筋肉(骨盤底筋)が弱い 骨盤内には、膣や子宮、直腸などを吊り上げている筋肉(骨盤底筋)があります。
女性の場合は男性と比べると出産などの影響で膣や尿道は開口するように できているので、どうしても筋肉をひき締める力は弱くなります。

そして、いったん筋肉が緩むと、膀胱や尿道は、下がりぎみになってしまいます。
その結果、尿道の閉まりが悪くなり、尿漏れが起こります。
骨盤底筋は、出産のほかに加齢や肥満によっても弱くなることがあります。

尿失禁(尿漏れ)の種類

1)腹圧性尿失禁
スポーツやくしゃみなどで尿がもれてしまう。

膀胱や尿道を支えている骨盤内の筋肉が、加齢や出産などにより弱くなることにより、尿道の外側からの引き締め(抵抗)が弱くなり、 結果、おなかに力が入った瞬間に、尿道の引き締めが弱くなっているために膀胱がおなかの筋肉で少し押されるくらいでも尿が漏れてしまいます。

これは40代後半の女性に多い失禁です。
この腹圧性尿失禁は、スポーツ・咳やくしゃみ・立ち上がるときなどおなかに力がはいる状態でおこります。

2)切迫性尿失禁
尿をしたいと思ってからトイレに行くまで我慢できずに尿がもれてしまう。

通常尿は、膀胱内に尿が満たされても、ある程度、自分の意思でがまんすることができますが、この尿失禁の場合は、膀胱内に尿が溜まると、急に強い尿意をもよおし、自分の意思とは関係なく膀胱の筋肉が収縮を起こし尿が漏れてしまうものです。
これは中枢神経疾患・脳梗塞・脳出血後遺症や前立腺肥大・膀胱炎などのときに起こることがあります。

3)溢流性尿失禁
チョロチョロと少しずつ尿がもれてしまう。

排尿障害があるために、常に膀胱内に尿が溜まっていて、そのため膀胱内の尿があふれて少量ずつ尿が漏れる状態です。
原因は、前立腺肥大や尿道閉塞によるものと、膀胱収縮が末梢神経障害のために障害されることにより起こります。

4)機能性尿失禁
膀胱や尿道に異常がないのに漏れてしまう。

この尿失禁は、膀胱や尿道の機能異常に関係なく、カラダが不自由であったり、認知症であったりという理由でトイレまで 行く時間がかかってしまう、もしくはトイレの場所が分からないなどの理由で尿が漏れてしまうものです。

5)反射性尿失禁
尿をしたいと思わないのに出てしまう。

この尿失禁は、中枢が何らかの原因(交通事故など)で損傷を受けることにより尿意を伴わず、膀胱内に尿が溜まると、 膀胱の筋肉が不随意的に収縮してしまうことにより尿が漏れてしまいます。

尿失禁(尿漏れ)を予防しよう!

@刺激の強い飲み物は控えましょう
お茶やコーヒーなどはカフェインによる利尿作用があるので、もしトイレが近くなるようでしたら、カフェインなどを含まない刺激のない飲み物をとるようにしましょう。
A便秘は大敵
便秘は膀胱を圧迫して尿漏れの原因となりますので、排便習慣をつけましょう。
B骨盤底筋を鍛えましょう※
骨盤底筋を鍛えることにより、腹圧性尿失禁は改善します。
C肥満を改善
肥満は便秘同様に、膀胱を圧迫して尿漏れの原因となりますので適度な運動をして、体重減量に努めましょう。

※骨盤底筋を鍛える方法
これは主に腹圧性尿失禁の改善に効果がある方法です。

方法
肛門もしくは膣を引き締め(肛門を閉める感じ)、5秒たったら次は緩める。
これを一回10分程度行なってください。
姿勢は寝ながらでも良いですし、椅子に座ったままでも結構です。

肛門もしくは膣以外に力は入れないように体全体はリラックスした状態で行ないます。
この弛緩と収縮を繰り返すことによって、尿道や骨盤底筋が鍛えられて尿道の外からの締め付けがよくなり、尿漏れが解消されます。
しかし、すぐ結果がでるわけではありません。
あせらず、2〜3ヶ月は続けましょう。

尿失禁(尿漏れ)診断のための検査

1)尿検査
一般的な尿のスクリーニング検査です。
これにより、膀胱炎の有無などを調べます。

2)padテス
漏れる尿の量を調べます。
患者さんに水を500ml飲んでもらい、1時間決まった運動(ウォーキングや階段上り下りなど) をしてもらい、漏れる尿量を調べます。
2g以下を正常とし、10g以上を尿失禁と判定します。

3)Q−tipテスト
腹圧性尿失禁の診断に用いられる検査です。
尿道に綿棒を挿入しておなかに圧力をかけて、綿棒が一定の角度以上になれば陽性となります。

4)膀胱鏡検査
尿道から内視鏡を挿入して、膀胱内に腫瘍がないかを診ます。

5)腹部超音波検査
超音波で膀胱を観察し、腫瘍の有無を調べます。

6)チェーン尿道膀胱造影検査
腹圧性尿失禁の診断に用いられる検査です。
尿道から細いチェーンを挿入し、造影剤を注入してレントゲンを取り、 膀胱と尿道の角度を測定します。

7)ウロダイナミクス検査
特殊な検査機器を使用して、尿道から膀胱へ管をいれ、膀胱と尿道の機能を調べる 検査です。
排尿時の膀胱内圧・排尿筋圧測定と尿道括約筋筋電図の働きを同時に記録することにより、排尿障害のタイプ(病型)を診断します。

尿失禁(尿漏れ)の治療

外科的療法

1)コラーゲン注入療法
尿道粘膜下にコラーゲンを注入するものです。
コラーゲンを注入したことにより、尿道の周囲が膨らみ、尿道を圧迫することにより 尿失禁を治療します。
この手術は内視鏡下で行うので、出血なども少量で短時間ですみますが、コラーゲンが体内に吸収されるため、数年で再発することがあります。
2)TVT手術
膣に小さな穴をあけて、そこからメッシュ状のテープを尿道の下に留置して 尿道を支えることにより、尿漏れを防ぎます。
手術時間は1時間程で傷口も下腹部と膣に合計3箇所(1.5cm程度)であまり目立ちません。
大体2〜3日の入院でOKです。
3)その他
原因疾患(前立腺肥大など)がある場合はそちらを治療することで、尿失禁を改善させます。

薬物療法

1)抗コリン薬(バップフォー・ポラキスなど)
膀胱平滑筋の収縮を抑え、膀胱の容量を増やす効果があります。
2)α刺激薬(メトリジンなど)
膀胱頸部の括約筋と尿道平滑筋の収縮力増強の効果があります。
3)β刺激薬(スピロペント)
膀胱平滑筋の収縮を抑え、膀胱の容量を増やす効果と尿道括約筋の収縮力増強の効果があります。
4)三環系抗うつ薬(トフラニール)
膀胱括約筋の抑制作用と尿道平滑筋の収縮力増強の効果があります。
5)女性ホルモン薬
閉経後に起こる尿道粘膜の萎縮よって起こる尿失禁に効果があります。